しばらく自分の部屋で音を楽しんでいた。その時はまだ音楽のいち側面しか知らず、新たな魅力あるステージに行くまでには10年以上を要した。
 そのステージには行きたくてもなかなか行けず、どうしてそこに行き着けないのかその時はわからなかった。振り返ってみるとただただ意気地がなかったのではなかったのではないかと今は思う。そのステージとは、生の音を聴きに行くこと……

 一見、関係のないように見える『生の音を聴きに行くこと』と『意気地』。でもChallengedという見方では、結構密接な関係がある。なぜなら

 ・会場までの行き帰りの不安
 ・人が多すぎてケガが心配
 ・会場の階段が怖い
 ・安心して観ていられるのか
 ・オールスタンディングだったらどうしよう……

などがあり、他にも書き表すことができない漠然とした不安が意気地をなくす要因となった。

 そんな私に友だちが出逢いをくれた。小さなライブに誘ってくれたのだ。その友だちはなにげなく誘っただけだが、私にとってとても大切な最初の一歩になった。この友だちがいなければ未だに音楽の、美しさ・楽しさ・豊かさに触れることができずにいただろう。
 これで味をしめた私ではあるが、誰か知り合いがいないとライブには行けない日々が続いた。しかし、通っていた大学の近くではアーティストの有名・無名問わず会場が満員になることはほとんどなく、安心して単独ライブ通いができ、少しずつ自信を深めていった。

 けれども、ライブ通いの回数を重ねるにつれ、様々な“なんでやねん”と思うような事柄に遭遇した。例えば、Challenged用トイレがスロープがない階段の上にあったり、階段が急なので下りられないと言っても「仕方がない」と言われ、強引に誘導された。

 その“なんでやねん”を改善する方法を探し始めた。会場主やイベンターに対し問題点を訴え交渉した。けれども責任の所在がはっきりせず、たらい回しにされた。個人だけが交渉・申し入れをしても限界があり、この“Challenged On The frontStage 〜 COTS 〜”の活動を思いついた。(第3回へ続く)